「夫がもっと協力的になってくれたらいいのに…」
「前はもっと私を大事にしてくれたのに、なんで変わってしまったんだろう…」
結婚生活が長くなるにつれて、「相手がこうしてくれたら、もっと幸せなのに」 という思いが募ることは少なくありません。例えばこんなお悩みをしばしば耳にすることがあります
「夫が忙しいのはわかる。でも、帰宅後もずっとスマホを見て横になっている。小さいことでいいから、もっと協力的になってほしい。ワンオペが続いていて限界…」
「結婚前はとても仲がよかったのに、今は子どもが寝た後も距離を感じる。夫にもっと愛情を示してほしい。自分の女性としての価値が否定されているように感じる…」
両者に共通するのは、「相手の行動が変わること」 を期待しているということ。
「もっとこうしてほしい」「変わってくれたら嬉しい」と感じるのは自然なことですが、実は危険な側面も孕んでいます。「相手が変わる」ことへの期待に縛られすぎると、夫婦関係はむしろ悪化してしまうことが多いのです。
夫婦関係において、「相手に期待しすぎる」ことは、
ストレスや不満を増やす原因になりがちです。
例えば、A子さんが夫に「もっと家事を手伝ってほしい!」と何度も訴えても、夫が思うように動いてくれなかったら?
B美さんが「もっと愛情表現をしてほしい!」と求め続けても、夫が変わらなかったら?
待っているのは負の循環です。
「相手に変わってほしい」が二人の関係の中心にあると、あなたのせっかくの努力が、逆に自分を苦しめることにつながる可能性が高まります。
だからと言って、二人の関係が今のままで言い訳はないですよね。では、二人の関係を「改善しよう」、「よりよくしよう」と思った時には、どうしたらいいのでしょうか。
ここで大切になるのは、「夫婦関係は相手を変えるものではなく、自分の行動でつくるもの」 という考え方です。
つまり、「相手が〇〇してくれたらいいのに」と考えるのではなく、「自分がどうありたいか?」を軸にする のです。
まずは、夫婦関係において、「自分が本当に大切にしたいことは何か?」を考えてみます。
この答えに近づくために、次の問いに向き合ってみましょう。
「10年後、2人の記念パーティーでパートナーが自分について語るとしたら、
どんな言葉を聞きたいでしょうか?」
この問いへの答えから、自分が大切にしたい行動の指針となる言葉を紡ぎ出します。
先に例を挙げたA子さん、B美さんの場合は、それぞれの以下のように。
A子さんの答え:「A子の献身のおかげで、僕は成長できた」
B美さんの場合:「B美はいつになっても愛に溢れ、僕らは今でも本当に仲が良いんです」
次に、自分が大切にしたい行動の指針に従って、具体的にどんな行動をするかを決めていきます。
A子さんの場合、「夫が協力的になってくれたらいいのに」と願うのではなく、「自分が貢献を大切にしながら、どういう行動ができるか?」 を考えます。
A子さんの具体的な行動リスト
B美さんの場合も「夫が愛情を示してくれない…」と不満を抱えるのではなく、「つながり」を大切にする行動 を考え、選択します。
B美さんの具体的な行動リスト
これらの行動を実践すると、たとえパートナーの行動が変わらなくても、「自分が大切にしたい価値に沿っている」という満足感や充実感が得られます。
「相手が〇〇してくれないから不満…」への焦点が薄れ、「自分は自分の価値に基づいた行動をしている」 という安心感が生まれるのです。
また、価値に従った行動には副産物があることもあります。実は、こうした行動の積み重ねが、結果として相手の態度を変えることにつながることも多いのです。 ただし、重要なのは「相手の行動を変えることを目的にしない」こと。もし「相手を変えよう」として行動すると、結局、相手への期待に縛られてしまい、逆に関係が悪化することもあります。
夫婦といえども、お互いに独立した人生を生きています。だからこそ、夫婦関係は本来、対等なものです。
しかし、「相手に期待している」状態は、相手の行動次第で自分の幸福が左右される状態とも言えます。
思い通りにならないことが続くと、私たちはストレスを感じやすくなります。当然、パートナーは他人です。コントロールはできないもの。「こうしてほしい」と思い続けること自体がストレスの原因になりやすく、それがパートナーへの不満となり、口論へとつながれば、負のスパイラルに入ってしまいます。
まずは、自分が本当に大切にしたいことを考えることから始めましょう。「夫がもっと〇〇してくれたら…」ではなく、「私は夫との関係において〇〇を大切にしたい」 と考えることで、視点が変わります。自分がどんな行動をとるかを考え、大切にしたい価値に沿った行動を選んで実行してみましょう。そうすることで、二人の関係が「相手の行動に振り回されるもの」から「自分が主体的に築くもの」に変わります。結果として、あなた自身のストレスが減り、二人の関係も安定していきます。
だからといって、期待をゼロにする必要はありません。パートナーに期待を持つこと自体が悪いわけでもありません。期待を全く持たないようにする、というのは、現実的には難しいですよね。わかっていても相手に期待して、「相手に変化がない」と悲しくなってしまうことも時にはあるかもしれません。でも、その期待が叶わなかったとき、あなた自身が傷つかずに済む方法があるとしたらどうでしょうか?
大切なのは、相手がどうするかではなく、自分が何を選び取るか。
そんな視点を持つことで、夫婦関係はもっと穏やかで心地よいものになっていきます。
今回の記事では、「夫婦関係は自分の行動次第」というシンプルな事実について解説いたしました。
ぜひ、「10年後のスピーチでお相手からどんな内容を聞きたいか」、というワークから取り組んでみてくださいね。
次回は、夫婦のすれ違いの原因でよくある「言わなくてもわかるでしょ?」に焦点を当て、夫婦円満の秘訣を考えていきます。次回更新をお楽しみに!
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